銀座の街中に、一風変わったうどん屋がある。
店内はオープンカフェのような開放感で、若い女性客も多い。
夜はジャズの生演奏とうどんのコラボレーションを楽しめる。
その店の名は「太常うどん」。
オーナーの川北さんは70代だ。
経営していた八百屋をご子息に譲り、リタイア後にうどん屋を開業した。
元八百屋だけあって、店先には今でも野菜が並んでいる。新鮮で美味しそうな野菜が綺麗に陳列されていると、つい買って帰りたくなる。
うどんのトッピングの目玉は野菜の天ぷら。
「これだけ豊富な野菜を揃えようと思っても、ほかでは真似できないね」
と川北さんは語る。
八百屋からうどん屋へ、全く違う業界に飛び込んだように思えるが、野菜を中心に据えている点ではブレがない。
「第二の人生だなんて思ってませんよ。人生一回だもん。ただ、リタイアした後に何かを始めるなら、それまで培った経験を生かせるものじゃないと」
私が食べたのはアボカドうどん。
温かいうどんに生のアボガドが乗っている。
「味が想像できない」って?
ビックリするほど合うんだな、これが。