縛り付け、クスリ漬けの実態:認知症国会勉強会(第3回)の議論から


国会で認知症対策の議論を活性化すべく今年2月に立ち上げた「認知症国会勉強会」ですが、先日開催した第3回勉強会には、世界認知症審議会メンバーの黒川清先生、在宅医療を手掛ける高瀬義昌先生にご参加いただき、意見交換を行いました。

社会コストは医療費の8倍!?

黒川先生からは、国内で認知症にかかっている医療費は1兆9千億円、介護費は6兆4千億円、家族などが無償で行う介護を金額に換算した「インフォーマルケアコスト」は6兆2千億円、これらの社会的コストを合計すると14兆5千億円にのぼる、との説明をしていただきました。

こういった、表には出てこない家族の負担を可視化することには重要な意義があります。

認知症医療・介護の“不幸な実態”とは?

高瀬先生からは、認知症ケアの実態について語っていただきました。

認知症医療においてはクスリを大量に投与し、かえって患者の体調を悪化させているケースも多く、実際、みだりに抗不安薬を使用することにより、筋肉量の低下を招いて転倒骨折から認知症を悪化させたり、幻覚や興奮などの周辺症状を引き起こすこともあるようです。

認知症の原因となる疾患は70種類以上と言われており、患者さん1人ひとりの病態を丁寧に診察し、それぞれに適した治療やケアに導く必要があります。

また、入院患者をベッドに縛り付けるなどし、かえって認知症の症状を悪化させているケースもいまだに多くみられるそうで、「患者さんが暴れる時にはじっくりとお話をして気持ちを落ち着かせる」といったような、認知症ケアに関する正しい理解を普及していかなければならない、と高瀬先生は強調されていました。

在宅医療の果たす役割は!?

認知症の方はご自身が認知症であることを認めたがらないため、病院に行くことを拒否し続け、適切な治療を受けられずに症状が悪化していくケースも多いようです。

このため、高瀬先生は「在宅医療が認知症ケアに果たす役割は大きい」と語ってくれました。

医療、介護の現場においても認知症対策の課題は山積しています。

一つひとつに丁寧に向き合い、解決していかなければなりません。

(この勉強会に事務局として関わってくれている、栗田さんをはじめ日本医療政策機構のみなさんに感謝申し上げます。)


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