top of page

住居等不安定者支援策を提言



自民党『ハウジングファースト勉強会』で住居等不安定者支援策の提言を取りまとめ、コロナ対策本部に申し入れました。

提言の全文は以下の通りです。


 

ハウジングファースト勉強会 緊急提言

-新型コロナウイルスに関連する住居等不安定者への支援について-

令和2年4月吉日

国内には、インターネットカフェや漫画喫茶等に長期に滞在し、住居を有しない方々が多く存在している(東京都内だけでも4000人と言われる)。

今般の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言に伴い、各都道府県の中にはこれらの施設に対して休業を要請している自治体もあり、路上生活を強いられる住居不安定者が増加することが危惧されている。

また、新型コロナウイルス感染症に起因する失業や収入減少によって既に住居を失ってしまった方から支援団体への相談件数も増えつつある。

加えて、生活環境の変化に伴う家庭内暴力等も社会問題化しつつある中、家出をした若年者からの相談は引きも切らない状況にある。

新型コロナウイルス感染症との戦いは長期化することが見込まれる中、今後、様々な事情から住居等を失う方が急増することも懸念されることから、国・地方が一丸となって住居等不安定者対策を強化していく必要がある。

現在、東京都では住居喪失・不安定就労者を対象に、相談支援拠点『TOKYOチャレンジネット』を運営しており、新型コロナウイルス感染症の影響で居場所を失う方も含めてアパート等(500戸)やビジネスホテル(100室)など一時的な居場所を提供している。

本事業の対象は「東京都内に直近6ヶ月以上継続して生活をしている方で現時点で住居がない方」とされていたが、緊急事態宣言の期間中、6か月滞在要件については緩和されている。

ただし、この措置はあくまでも緊急事態宣言に伴うものであり、宣言期間終了後は要件が元に戻ることが想定されている。

この期間、我が国産業が広くダメージを受ける中、住居等喪失者が職を得ることは極めて困難であり、緊急事態宣言の期間終了後、再びインターネットカフェや漫画喫茶等における一時滞在生活に戻ることすら難しくなることが考えられる。

そうなった場合、東京都は基礎自治体との連携のもとでセーフティネット住宅を斡旋する考えだが、セーフティネット住宅は戸数が限られており、不足が生じかねないとの指摘もある。

また、政府においては、住居を失うおそれのある困窮者への支援策として『住居確保給付金』を拡充し、離職・廃業後2年以内の者、給与等を得る機会が当該個人の責に帰すべき理由・当該個人の都合によらないで減少し離職や廃業と同程度の状況にある者の賃貸住宅の家賃を代理納付することとしたり(厚生労働省)、公営住宅等事業主体に対し、新型コロナウイルス感染症の影響による解雇等で住宅を失った者について目的外使用による公営住宅等の提供を要請している(国土交通省)ほか、児童虐待通報・相談窓口の周知・拡充などの取組も行っている(厚生労働省)。

一方で、支援現場のマンパワー不足や対応の硬直性、衛生面・安全面・受援者が抱える個別課題等への配慮不足、住居確保不足の懸念など、全国に共通する課題も多く指摘される中、国によるより一層踏み込んだ対応が求められるところである。

生活困窮者等の中には様々な事情を抱え、各種支援手続きが円滑に進まない方も多いことから、これらの方々の自立を支援するにあたってはまずは安定した住まいを提供する(ハウジングファースト)ことが極めて重要である。

また、社会的隔離や経済の停滞によって従来にも増して厳しい状況に追い込まれる人々の社会とのつながりを強化し、誰一人取り残さない社会を実現するために、住居の確保を最優先に位置付ける「ハウジングファースト政策」は生活困窮者自立支援政策体系の中核に位置付けるべきものである。

このため、地方自治体に対しては住居等不安定者1人ひとりに対するハウジングファースト視点に立ったきめ細やかな対応を要請するとともに、政府に対しては以下の措置を早急に講ずるよう要請する。

1. 住居等不安定者支援においては多様な形態(夜回りや電話相談に加え、最近ではSNSの活用も)でのアウトリーチ活動が決定的に重要な役割を果たしているが、現場の支援団体のリソース等の課題もあり、満足な頻度で行うことは難しい状況にある。このため、政府は現在予算措置している巡回相談支援事業が現場においてより積極的に活用されるように運用を徹底するとともに、必要に応じて予算の拡充を行うべきである。また、要保護児童対策地域協議会の業務にもアウトリーチ活動を位置付け、支援団体を活用するとともに、活動経費の裏付けを行うべきである。(厚生労働省)

2. 支援現場においては、アウトリーチで住居支援が必要と判断された方に対しても、行政の判断や手続き等に時間を要し、速やかな住居提供につながらないケースも見られる。これに対し、本年3月10日の厚生労働省事務連絡「新型コロナウイルス感染防止等に関連した生活保護業務及び生活困窮者自立支援制度における留意点について」においても、必要な方には一時滞在施設を提供することを各都道府県等に求めているところである。かつて東京都が『地域生活移行支援事業』において行っていた対応(アウトリーチチームに一定の権限を移譲するスキーム)も参考にしつつ、一時滞在施設の迅速な提供に向け、その運用を徹底すべきである。(厚生労働省)

3. 住居等不安定者に住居を斡旋する際、相部屋を斡旋されるケースも存在するが、衛生面・安全面・受援者が抱える個別課題等に配慮する観点からは、個室を提供する必要がある。本年4月17日の厚生労働省事務連絡「新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言に係る対応に当たっての留意点について」においても、各都道府県に対して個室の提供を求めたところであり、今後、その運用の徹底を図るべきである。(厚生労働省)

4. 住居の確保については、各都道府県において引き続き新型コロナウイルス感染軽症者の入居状況に配慮しつつホテルの客室を確保することに加え、数次にわたる国土交通省の事務連絡において公営・公社・UR・セーフティネット住宅などの利用条件が柔軟化されたことを踏まえてその活用を徹底するとともに、必要に応じて賃貸型応急住宅(みなし仮設住宅)のような制度を活用するなど、必要数確保に向けてあらゆる手を尽くすべきである。また、その上で、地域ごとの住居確保数及び入居実績数のそれぞれについて公表すべきである。(厚生労働省、国土交通省、内閣府)

閲覧数:75回
bottom of page