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認知症を社会で支える処方箋:認知症国会勉強会(第1回)の議論から


これから超高齢社会を迎える我が国において、認知症は大きな社会問題になりかねません。

多くの方が長生きをするようになり、2人に1人が認知症になると言われる中、認知症対策にスピード感を持って取り組んでいかなければなりません。

では、いったいどうすればいいのでしょうか?

真に必要な認知症対策、どうやって前に進める!?

政府は認知症対策の総合戦略として「新オレンジプラン」を策定・公表していますが、具体的な施策レベルではまだまだ実を伴っていません。

また、認知症対策に関する国会での議論も低調と言わざるを得ないのが率直なところです。

そこで私は、国会において認知症への理解を深めるとともに、今後の検討の活性化を図ることを目的に、「認知症国会勉強会」を立ち上げました。

認知症対策と言ってもその内容は多岐にわたりますが、本勉強会では予防から治療、介護に至るまで、そして本人目線、介護者家族目線、社会目線など、認知症に関するテーマを網羅する形で検討を行っていきます。

第1回目となる2月27日は、「NPO法人認知症フレンドシップクラブ」理事の徳田雄人さん、「公益社団法人認知症の人と家族の会」副代表理事の杉山孝博さんから講演をしていただき、意見交換を行いました。

認知症フレンドリー社会とは!?

徳田さんは認知症に対する正しい理解の普及に取り組んでいる方で、今回は「認知症の課題の現状と認知症フレンドリー社会」をテーマにお話をしていただきました。

認知症当事者にとっては銀行ATMの操作が難しかったり、バスに乗った時に目的地で降りれなかったり、日常生活の中で様々な困難に直面することになります。

そんな時に、窓口の人が対応してくれたり、運転手さんが目的地に到着したことを知らせてくれたりするなど、ちょっとした工夫で認知症フレンドリーな社会をつくることができます。

このため、例えばイギリスにおいては業界ごとに認知症フレンドリーガイドラインを策定して自主的な取組を進めていますし、既に多くの国でそれぞれの取組が行われています。

徳田さんは、我が国においても認知症への対応を医療・ケア任せにせず、公共セクター、ビジネスセクター、非営利セクター、アカデミアなどあらゆるステークホルダーが認知症フレンドリー社会の実現に向けた役割を果たしていくべきことを提言してくれました。

認知症の方は自らの状態を認めない!

杉山さんは医師として認知症患者の在宅医療に取り組みながら介護者への支援を行っている方で、今回は「認知症の人と家族を地域で支えるために」をテーマにお話をしていただきました。

今後、長寿化に伴って認認介護(夫婦ともに認知症)や認知症の方のひとり暮らしが増えていくことが予想されます。

一般的に認知症の方は生活障害を起こしている自らの状態を認めず、医療や介護サービスを受けるのを拒否する傾向があります。

また、時々にしか会わない家族に対してはしっかりした言動をするので、認知症の程度が家族に理解されにくくなります。

このため、適切なケアがないままに重度化し、財産管理のトラブルや悪徳商法の被害、徘徊や近隣との軋轢などが生じやすくなります。

このため、杉山さんは、

・認知症に関する正しい理解の普及

・介護保険サービスによる24時間見守りの実現

・地域ぐるみの見守り

・民生委員、地域包括支援センター、行政担当、主治医などの連携

などを進めていくべきこと、さらに若年性認知症については、

・社会参画の機会を積極的につくる

・能力低下が急速であるため、進行段階に合った就労支援

などが必要であることを提言してくれました。

機運の醸成に向けて・・・

また、意見交換のセッションにおいては、口腔ケアが認知症予防に果たす役割について言及があったり、現在の住環境のセキュリティの厳格化が認知症フレンドリー社会とは逆行していることについての指摘があったりと、大変実のあるディスカッションが行われました。

今回、50名程度の国会議員に加え、「全国認知症予防ネットワーク」メンバーや認知症研究者、メディアの方など100名以上の傍聴参加者が来場し、会場は150名以上の熱気に包まれました。

これからも月イチペースで「認知症国会勉強会」を開催していきます。

この勉強会をきっかけに、国会における認知症対策の機運を高めていくことができたら幸いです。

(この勉強会に事務局として関わってくれている日本医療政策機構の栗田さんに感謝申し上げます。)


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