高齢者人口の増加に伴い、認知症の人の数も急増しています。
他方、介護人材の不足は深刻であり、廃業に追い込まれる施設も出始めているほどです。
新たに認知症になる人の数をいかに抑えていけるかが今後の我が国の生命線と言っても過言ではありません。
そこで重要になるのが認知症予防です。
しかし、医療・介護関係者の中には「予防なんて意味がない」との見方をする方も少なくありません。
実際のところ、本当に「予防には意味がない」のでしょうか?
先日開催した認知症議員連盟では、生活習慣病と認知症との相関関係に詳しい九州大学教授の二宮利治さんにご参加いただき、ヒアリングをさせていただきました。
二宮さんからは、
高血圧の方は脳血管性認知症の発症リスクが3倍以上
喫煙習慣のある方はアルツハイマー型認知症の発症リスクが2倍、脳血管性認知症の発症リスクが2.8倍
糖尿病の方はアルツハイマー型認知症の発症リスクが2.1倍、脳血管性認知症の発症リスクが1.8倍
運動習慣の無い方はアルツハイマー型認知症認知症の発症リスクが1.7倍
以上の結果から、生活習慣病予防に取り組むことによって認知症発症リスクを下げることは可能である。
といった研究成果を発表していただきました。
このように、科学的見地からも認知症が予防可能であることは明らかですが、先述のように「予防なんて意味がない」と言われてしまう原因は、「この認知症予防体操を続ければ認知症発症リスクをこれだけ下げられる」といったようなエビデンスの欠如です。
エビデンスの構築に向けては、日本全国の研究者が懸命な取組を行っていますが、残念ながら多くの研究結果は被験者数が少なすぎて、統計上有意と見なすことができないのが実情です。
今後は、これまで個々の研究者が小規模に取り組んできた研究を、国主導で1つにつなげていく必要があります。
こういった視点は、今後、認知症対策の方向性を定めていく上で欠かすことのできないものです。
お忙しい中ご協力いただいた二宮さんには改めて心から感謝申し上げます。
引き続き、法案策定の準備のため、各分野の専門家の方々との意見交換を精力的に行っていきます。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
読んでいただいた方にとって少しでも参考になればとても嬉しいです。
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