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外務委員会質疑(外交の在り方について)



政府には国益を守る意思があるのか!?

他国の揺さぶりに引きずられてしまってないか!?


外交・安全保障に力を入れる者の一人として、このような問題意識を持ち続けています。


本日、衆議院外務委員会で15分間だけ質疑の時間を頂けましたので、日韓関係を例に、外交の在り方について政府に訴えさせて頂きました。


なお、韓国との関係について述べるにあたり、まずは10月29日に梨泰院で起きた事故の犠牲になられた方々に謹んでお悔やみを申し上げます。

我が国でも、近年ハロウィンが過熱し、様々な事件・事故が発生しています。

梨泰院での事故を対岸の火事としてはならない、と強く思います。


以下、本日の質疑における私の訴えのポイントを整理いたします。


 

1.国益を守るための実行部隊が必要である!


現状、慰安婦問題を象徴する像や碑が世界中に多数存在します。

近年は異様な頻度で設置が進んでいますし、日本国内にも存在しています。


像や碑が他国の公有地に設置された場合、我が国政府が相手国政府に撤去の要請を行い、実際に撤去されたケースもあります(撤去されないケースもあります)。


しかし、私有地に設置された場合、我が国政府は手も足も出ません。

国内に存在する碑もその典型例です。

ただ、私有地と言っても色々あります。

美術館や博物館などのように、不特定多数の人が沢山集まる場所だってあるわけです。

その類の土地に像や碑がどんどん設置され続けても、手をこまねいて見ているしかない状況って、国益の観点からどうなんでしょう。


相手が民間だから口を出せないのならば、こちらも民間団体を作ればいい事です。

その団体に、(国内外を問わず)像や碑を設置している土地の所有者に対する交渉を行わせればいい。

ただ、民間団体を作ると言っても、これは極めて公益性が高く、収益性の低い事業ですので、国の肝入りでなければ実現不可能です。


慰安婦問題に限った話ではありません。

また韓国との関係に限った話でもありません。

我が国の国益を守るための実行部隊、政府肝いりの民間組織、こういったものが必要だと考えます。

しかし、こういった実行部隊の創設の是非を検討する権限や責務を担う部署は外務省内には存在しません。

もっと言えば、外務省以外の他の省庁にもそのような検討を行える部署は存在しません。


私はここが問題だと思うんです。

国益を守るのは簡単なことではありません。

政府間協議のような表の世界だけではなく、見えないところで相当込み入った対応も行わなければ、真に国益を守ることなどできません。

にもかかわらず、そういった全体的な戦略を考える部署が政府の中に存在しない。


これからは外交の時代です。

しかも相当不安定な時代です。

相手は色んな手を打ってくるわけですから、我々も生き残りをかけ、あらゆる手を尽くす必要があります。



2.揺さぶりに乗ってはダメ! 土俵はこちらが設定すべき!


朝鮮半島出身労働者問題に関しては、日本企業が韓国内に所有する資産の現金化の問題が大詰めを迎えています。

報道によると、何らかの財団が賠償を肩代わりする案が有力視されているようです。


しかし、この「肩代わり案」は極めて大きなリスクを孕みます。

韓国の大法院(日本の最高裁に相当)が日本企業に賠償を命じています。

我が国としては、日韓請求権協定がある以上、賠償は飲めない要求です。

そこで出てきたのがこの「肩代わり案」です。

一見すると、日本企業による賠償を回避するこの方策は良さそうに思えるかもしれません。

しかし、賠償を肩代わりするという案は、前提として、賠償の必要性を認めてしまっているわけです。

それは結局、日韓請求権協定の趣旨に反することになるのではないでしょうか。

私はこの事を強く懸念しています。


そもそも、韓国の大法院が日韓請求権協定の趣旨に反する判決を出したこと自体、受け入れてはならないのです。

にもかかわらず、この判決を所与のものとして政府間交渉を行っているとすれば、完全に韓国の揺さぶりに乗せられているではないですか。

向こうが設定した土俵に乗ってしまっているではないですか。



朝鮮半島出身労働者問題に限らず、慰安婦問題も同じ構造です。

1965年に日韓請求権協定を締結したにもかかわらず、韓国政府は2005年、「日韓請求権協定に慰安婦等は含まれない」との見解を公表しました。

その後、紆余曲折を経た2015年、日本政府が新たに資金拠出することを含んだ日韓合意を交わすことになりました。

そして、日韓合意において不可逆的解決を約束していたにもかかわらず、文在寅政権では合意内容を履行せず、あろうことか、2017年に「慰安婦の日」を法定化するという挙に出ました。


合意をしても、後になって揺さぶられ、譲歩をし、また合意をしては揺さぶられ。

こんなことをいつまで繰り返すのでしょうか。


しかも、今回は日韓請求権協定の屋台骨がぐらつきかねない事態です。



私は、外交は徹底的に現実主義的でなければならないと考えています。

ただし、ここで大事なのは、現実主義をはき違え、曲げてはならない筋を曲げるようなことがあってはならない、ということです。

これは日韓関係に限った話ではありません。

外交全般にわたり、譲ってはならない一線があるのです。



3.終わりに


本日の質疑では、以上のような問題意識を政府に訴えました。


先述の通り、これからは外交の時代です。

しっかりとしたビジョンを掲げつつ、戦略という戦略、戦術という戦術を駆使した老獪な外交が求められます。

色んな意味でパワーも必要になります。


政府には、今後の外交において、

・第一に、徹底して国益を守り抜くこと

・第二に、毅然とした対応をすること

・第三に、辛抱強く向き合うこと

これらの要諦を軽んずることの無いよう、心から期待するところです。

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