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メールでの選挙運動に関する規制改革を提言


選挙運動の自由は憲法21条に規定される表現の自由の中でも特に重要なものであるにもかかわらず、現在、候補者と政党以外はメールでの選挙運動を行うことができません。

他方、SNSによる選挙運動についてはほとんど規制がありません。

このように制度がバラついてわかりにくい状況は、デジタルネイティブである若者世代が選挙を身近なものと感じられない一因となっています。

そこで、若者政策推進議員連盟では、メールでの選挙運動に関する規制改革を提言し、

・第三者である個人については規制を廃し、SNSとのバランスをとる

・候補者と政党についても「事前同意を得た相手に対してでなければ選挙運動メールを送ることができない」といった規制を撤廃する

こととしています。

今後は本提言に基づいた議員立法も視野に入れて活動を行っていく予定です。

提言の全文を以下にお示しします。

 

若者政策推進議員連盟

提言

令和元年6月13日

若者政策推進議員連盟事務局

現在、メールを使った選挙運動は候補者及び政党に限られ、第三者は送られてきたメールを知人に転送することすらできない。一方、SNSによる選挙運動についてはほとんど規制がなく、落選運動メールについても送信者の氏名とメールアドレスを正しく表示しさえすれば誰でも送信することができるなど、制度のバラつきがみられるところである。

本件については、平成25年の公職選挙法改正時の附則において「次々回の国政選挙における解禁について適切な措置が講ぜられるものとする」と規定されているが、その後4回の国政選挙を経た現在も特段の措置は講じられていない。

デジタルネイティブである若者世代にとり、SNSに次いでメールは欠かすことのできないコミュニケーションツールであり、意思表現媒体である。

このため、メールでの選挙運動に関して超党派の『若者政策推進議員連盟』として以下の通り提言を行うとともに、各政党に対して本提言を踏まえた早期の対応を求める。

選挙運動の自由は、憲法21条に規定される表現の自由の中でも特に重要なものであり、その制限は選挙の公正を確保するために実質的な合理性と必要性があるものに限定されるべきである。FacebookやTwitter等SNSでの選挙運動が第三者に許されていることからすれば、メールでの選挙運動を規制する実質的な理由は乏しい。

たとえなりすましの危険性があったり、誹謗中傷の危険性があったとしても、規制すべきはなりすましや名誉棄損の方であり、電子メールによる選挙運動を禁止すべき理由にはならない。実際、制度面では送信者情報偽装メールには最高1年の懲役刑が課されているし、技術的にもメールソフトによる迷惑メールのフィルタリング、送信ドメイン認証によるなりすまし対策が講じられているところである。

また、落選運動用電子メールの場合は第三者も送信可能であり、落選運動用電子メールである旨を表示する必要はなく、送信拒否通知を行うことができる旨や送信拒否通知を行う際に必要となる電子メールアドレスその他の通知先を記載する必要もない。また落選運動用電子メールは当日も送信することができる。メール受信者からみれば、選挙運動用メールと落選運動用メールの相違に合理性を感じないであろう。

なお、一般的にスパムメールについては「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」によって送信の制限および一定の情報の表示義務が課されている。しかし、本来このようなスパムメールの規制は、営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人が「自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信をする」電子メールを対象としており、政治的な内容のメールを対象としてはいない。アメリカでもスパムメールの規制が連邦法で導入されているが、これも営利的なスパムメールだけを対象としているにすぎない。またイギリス、ドイツ及びフランスにも、電子メールを利用した選挙運動に対する規制は存在しない。本来営利的なスパムメールに適用される規制をそのまま政治的表現である選挙運動に導入していることについては見直しの必要性がある。

以上の理由から、メールでの選挙運動に関する規制を合理的なものとすべく、少なくとも第三者の中でも個人については規制を廃し、SNSとのバランスをとるべきである。また、候補者及び政党については、あらかじめ受け取ることに同意した人に限らず多くの有権者に選挙運動メールを受け取る機会を与える観点から、オプトイン規制を早期に撤廃すべきである。なお、個人以外の第三者(企業、団体等)については、過度な選挙運動が国民生活に与える影響や個人情報保護に関する懸念を踏まえると慎重な扱いが必要であり、当面、現行の規制を維持するのが望ましいと考える。

以上


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